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法人向け生命保険は税制の変遷とのイタチごっご
生命保険の経理処理に関するルールは、過去からさまざまな変遷をしてきています。
そして、その都度、駆け込み需要が発生し、”お宝保険”なるものを抱えた経営者が多いのが実態です。
これらの中には、すでに解約返戻金のピークに達していたり、移転のタイミングに来ていたり、本来の提案で行けば何かしら保全の必要がある段階に来ているものが多いのです。
そして、本来必要な担当者がすでにいないといったケースも目につきます。
こういったお客様に出会ったときに、適切な対策と実行支援できるかどうかは重要な役割といえるのです。
では、まず過去の税制の変遷を押さえておきましょう。
イタチごっこの歴史
法人保険の経理処理については、法人税基本通達で規定されています。
そして、過去多くの商品で全額損金処理できたのです。
これらに、次々と通達が出されて変更が入ってきたのです。
昭和62年6月 長期平準定期の変更
これで、100%損金にできる長期の保険が厳しくなりました。
平成8年7月 逓増定期の変更
これで、100%損金タイプの逓増が厳しくなりました。
平成13年8月 がん保険の変更
特に、まとめて前払いしてもすべて損金にできたものができなくなりました。
平成18年4月 長期障害保険の変更
それまで全損だったこの商品が、大きく変更されました。
平成20年2月 逓増定期
現在の状態に変更されました。
平成24年4月 がん保険
全損がん保険が終わり、1/2となりました。(現在の状況です)
また、裁判での判例も重要です。
平成24年1月 必要経費の考え方
法人から個人へ名義変更したのち、解約した場合の課税においては”一時所得”となります。
その際に計上できる必要経費は、法人の負担した全額になるのかどうかが争われたものです。
結果、”個人で負担した分”に限定されることとされました。
このように、過度に税制に偏った販売傾向が目立つとメスが入る歴史です。
そのたびに特需が発生し、駆け込みの最後には膨大な量の”お宝保険”が発生する要因になってきたのです。
そして、その多くがいまだ契約中だったりします。
問題は出口対策
入口が損金になったということは、出口は益金です。
入口が全損であれば、出口は全益金。
半損であれば、半益金。
あたりまえのことです。
この処理が行えなければ、解約をした期の決算で多額の法人税を納めることになり、結果節税はできなかったという結果になってしまいます。
せっかく繰り延べてきたものが水の泡。
何のための対策だったのかということになってしまうのです。
さらなる問題は担当者不在と資質
出口対策が必要な既契約は、世にあふれています。
しかし、解約しなければ問題は顕在化しません。
ところが、商品によってはいつまでも先送りできないものも多いのです。
多くの商品には解約返戻金のピークがあります。
そのピークがピンポイントだったりすると、問題は一気に顕在化します。
これ自体も問題ですが、もっと大きな問題は適切なアドバイスと実行支援をすべき担当者がすでにいないことも多いのです。
保険業界は相変わらず離職率が高く、多くのプレイヤーが退場しています。
さらに離職していないにせよ、その時点の税制、その他状況を踏まえて適切なアドバイスができる資質を持っているかどうかはよく見るべきポイントといえます。
できる人とできない人の差はますます広がっているといえるでしょう。
このように、世の中には将来の対策予備軍があふれているのです。
そしてその問題は一定時期に、一定間隔で次々と発生してくるのです。
その時に、信頼できるアドバイスができるかどうかは重要な機能であり、その立場をとれるかどうかであなたの価値も決まるのです。
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