有料メルマガ”社長と会社の手残り最大化コンサルタント養成講座”スタート
詳細はこちらへ ※無料メルマガは巻末に案内があります。一般社団法人スキームにメスが入ります。
そもそも
一般社団法人は持分の定めのない法人です。
つまり、株式会社の株主のような持分をもつ人がいないわけです。
これを利用して、相続税の節税の提案が横行していました。
簡単にいえば、通常、個人が持つ資産を相続、贈与、譲渡すればそれぞれ税金がかかります
これは当然ですね。
そこで、資産を渡す先を社団法人にするわけです。
例えば親の所有する資産を一般社団法人に譲渡し、その子供などがその法人の理事長や理事になる形を取ります。
そうすると、資産は法人のものになり、その法人には持ち分が存在しないわけなので、相続税がかからないという理屈です。
その後その役職を親族間で交代していくことによって、一般社団法人を通じて実質的な財産を承継していけば、永久的に相続税がかからないというスキームとなります。。
優良会社の株式や不動産を対象に、その買取資金を融資するというスキームで多くの提案がなされていました。
株式会社で資産を保有することでも一定の相続税減価効果はありますが、このスキームに比べればインパクトが違います。
リスクとすれば、資産を一般社団法人へ譲渡した場合、その譲渡をした個人は所得税の譲渡所得課税を受けることになります。
でもこの課税を容認すれば、相続の問題から逃れられるという夢のスキームに飛びついた方も少なくないでしょう。
しかも、一般社団法人設立には資本金も必要ありません。
登記費用のみでできてしまうのです。。。
かねてからの懸念
相続税法65条及び66条4項に以下の記載があります。
「一般社団法人など持分の定めのない法人に対し財産の贈与又は遺贈があつた場合において、その贈与等により、贈与等をした者の親族等の相続税等が不当に減少する結果となると認められるときに、その贈与等を受けた一般社団法人などを個人とみなして相続税等を課す」
この、相続税等の減少が「不当」かどうかは、以下の通りとされています。
①その運営組織が適正であるとともに、定款等に「理事・監事・評議員等の各総数のうちに親族関係や内縁関係等の特殊な関係を有する者の数が占める割合は、いずれも三分の一以下とする」旨の定めがあること
②特定の者に特別な利益を与えていないこと
③解散した場合の残余財産の帰属は、国又は地方公共団体又は公益社団法人等であること
簡単にいえば、親族などが事業運営にかかるメンバーの1/3以下であれば、誰のものでもない持ち分なしですよってことです。
親族だけで運営する一般社団法人が持ち分なしって言える根拠はないですよってことでした。
ここで改正情報
先日の日経新聞で以下のとおりでした。
政府・与党は相続税の過度な節税防止に乗り出す。
一般社団法人を設立して相続税の課税を逃れたり、住宅を贈与して宅地にかかる相続税を減らしたりする節税策が広がっており、2018年度税制改正で具体的な対策を講じる。
「一般社団法人の問題は放置できない」
自民党税制調査会の宮沢洋一会長は社団法人を使った節税を問題視する。
社団法人は08年から営利目的でも設立できるようになったが、株式会社と違って相続税はかからない制度となっている。
企業の株式に当たる持ち分が存在しないからだ。役員の人数や親族の割合に関する定めもなく、比較的容易に設立できる面がある。
この仕組みを悪用して節税に使うケースが増えている。まず親が代表者となって法人を設立し、資産を移す。
その後に子供を代表に就かせ、法人の支配権を継承すると、資産には相続税がかからない。
この仕組みを使えば、子供ばかりか、孫やその先の代まで、延々と非課税で資産を相続できる。
しかも、法人設立にかかる費用は登記の6万円しかない。
国も設立要件について「公序良俗に反しない限り全ての事業が対象」(法務省)としている。
16年は6075件が設立されており、この5年で1.5倍という急増ぶりだ。
登記だけで簡単に設立できる点が節税策として活用される一因になっている。政府・与党は親族が代表者を継いだ場合、非課税の対象と見なさず、課税対象とする方向で検討を進める。
日本経済新聞 2017/11/3 朝刊
いたちごっこは繰り返される
いつか見た風景です。
やりすぎるとこうなるわけです。
まだ詳細が分からないため明確には言えませんが、実行された方々はリスクを理解して実行されたかどうかが大変気になります。
仮に確定した場合、支払った譲渡税が無駄でしたってことと、借りた借入の返済が残ることになります。
公益財団法人はどうなのか?
一般社団法人と似ていますが、公益財団法人をつかった節税もあります。
社団法人は人が集まることで成り立つものであるのに対して、財団法人は財産が集まることで成り立ちます。
ある目的のために財産が集められ、その財産に対して法人格が与えられたものが財団法人です。
財団に移した財産は自分の所有物ではないので相続税がかからない、これが相続税対策になるという理屈です。
節税効果は、以下3つです。
・譲渡所得の特例
公益財団法人に財産を贈与や寄付をした場合に、一定の要件を満たすときは、譲渡益部分の所得税が非課税となります。
・寄付金の特例
公益財団法人に財産を贈与や寄付をした場合には、所得税の寄付金の所得控除、あるいは寄付金の税額控除を受けることができます。
・相続税の特例
公益財団法人に財産を贈与や寄付をした場合に、一定の要件を満たすときは、贈与や寄付した財産に対して相続税が非課税になります。
一般社団法人ではかかる、譲渡所得税すらかからないわけです。
ただ、公益財団法人を設立するには、一定のハードルがあります。
まずは一般財団法人を設立することが必要になります。
そのうえで、公益認定を受ける必要があります。
一般財団法人を設立し運営するにあたっては、理事3名、評議員3名、監事1名の合計7名が最低限必要な組織となります。
相続税対策のために最低7名の人材を確保しようと思うと、上場会社オーナーなどそれなりの規模がないと人材の確保が難しく、また費用対効果を考えても難しいでしょう。
資本金も300万必要です。
財団法人を相続税対策に利用するにはハードルが高い、これが一般社団法人が相続税対策に利用されてきた理由です。
譲渡所得税までフリーになってしまう”究極の節税”といわれるこのスキーム、穴はないのでしょうか。。
この情報から考えておくこと
個人的には、仕組み的には変わらない宗教法人、政治団体は無風、一般社団法人のみメスが入ることに違和感しかありませんがそんなことを言ってもしょうがありません。
2016年だけでも6000件も設立されているわけですから、対策の練り直しをする会社もそれだけ増えるということです。
合わせて検討されている納税猶予制度の改正情報を頭に入れつつ、どんなプランニングならお役にたてるのかを十分に検討しておく必要があります。
専門家との連携も必須でしょう。
まさに、提案力が試される時代です。
スポンサードリンク
またメスが入ります。。 合わせて読みたい
- 2017税制改正をどう生かすか?
- 財務分析
- 法人保険の神髄
- なぜクロージングがいらないのか?
- 保険の話をしないって?
- スタンダードプランの中身
- 節税なんてしないでください
- 自社株対策が得意です?
- 2つの恐怖話法。違いが判りますか?
- 今こそ改めて考えてほしいことがあります
- え?決算前にしか行かないんですか?
- 法人営業の本質
- 決算書のここを見る
- 事前準備でつく圧倒的な差
- 銀行格付けに社長は食いつく
- 感動を与えることだけを考える
- 解約したい⇒年払1800万のわけ
- これがわかると保険の価値はさらに上がる
- これもインパクトがあります
- これがあると一段上がれます
- 決算書を入手する方法
- 再現性ありますか?
- 消費税を語れますか?
- 事業承継税制が変わることに備えよう
- いかに社長を集められるか?
- また増税です
- 今度の事業承継税制は使えそうです